2024.01.24
地震災害と建築について
皆様もご存知の通り、2024年年明け早々には能登地震が発生しました。甚大な被害状況を目の当たりにすると、東日本大震災を身近に経験した私たちにとっても他人事とは思えません。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
ここで改めて地震と建築について考えたいと思います。
今回の能登半島地震は、プレート型地震の東日本大震災と異なり、能登半島直下で発生しました。あくまでニュース報道の画像を拝見しての感想ですが、建物被害や地盤被害だけを見れば、大震災被害よりも影響が大きかったように見受けられます。また、倒壊した家屋は古いものが多く、現在の耐震基準を満たしていないお宅や、地域柄重い素材となる瓦屋根のお宅が多いように思われます。
これから建築を考える方々は、自ずと耐震性を意識せざるを得ないでしょう。
現在の建物は、耐震基準が阪神淡路大震災の基準よりも厳しい基準となっています。したがって、建物の倒壊による圧死などの被害は考えづらくなっていますが、耐震基準を満たしていても、震度の大きさによっては躯体、基礎、外壁、内壁のひび割れ、部材の脱落などが考えられます。
13年前の大震災の際、被害状況確認のために入居者様のお宅を回らせていただきました。被害が全く無いお宅から基礎にクラックが入っているお宅まで状況は様々でした。それを踏まえてアドバイスさせていただきます。
まず、家を建てる場所の選定が重要です。軟弱地盤や雨水の流入や崖崩れが想定される場所は選ばないようにしましょう。また、宮城に建築される方であれば、大震災が一つの試金石になっているかと思いますので、検討地が大震災の際に周りの被害状況がどのようであったかなどを聞いてみる、ハザードマップを確認するなどが大切です。
次に、被害を軽減できる家や間取りについてです。
長期優良住宅等の耐震等級の認定基準を引き上げての建築や、揺れ減衰金具や器具を積極的に取り入れて建築を考えるのも一つの方法です。同時に、以下のポイントも考慮すると良いでしょう:
●間取りとして、2階建てよりも平屋やバランスの良い総二階型の建物を検討する。
●重い外壁材(タイル外壁など)や重い屋根材(瓦屋根など)を避ける。
●出っ張り引っ込みを少なくし、揺れを分散させやすいバランスの良い形状を選ぶ。
●内壁をバランスよく配置する間取りにする。
希望の間取りに相反する場合もあるかもしれませんが、耐震性に関してご不安やご相談がありましたら、お気軽にご相談ください。
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同時に、被災後の生活も考え、食料備蓄はもちろん、電気や都市ガスに頼らない暖房器具の用意も必要です。更には、被害復旧のためにも地震保険の十分な補償内容の加入をお勧めします。